ジンギスカンは、ラムやマトンなどの羊肉と野菜を、中央が盛り上がった専用鍋で焼いて食べる北海道の郷土料理です。
北海道では、焼いた肉をタレにつける「後付けタイプ」と、肉をあらかじめタレに漬け込む「味付けタイプ」の両方が親しまれています。
ジンギスカン早わかり
- 主な肉:若い羊のラム、成長した羊のマトン
- 主な食べ方:後付けタイプと味付けタイプの2種類
- 基本の焼き方:中央で肉を焼き、周囲で野菜を加熱する
この記事では、ジンギスカンが北海道で広まった理由や名前の由来だけでなく、ラムとマトンの違い、初めて食べるときの選び方、専用鍋での焼き方まで解説します。
北海道の郷土料理「ジンギスカン」とは

ジンギスカンは、薄く切った羊肉と、玉ねぎ、もやし、ピーマン、かぼちゃなどの野菜を一緒に焼く料理です。
北海道内の広い地域で食べられており、家庭の食事だけでなく、花見、キャンプ、バーベキュー、家族や友人が集まる日の料理としても親しまれています。
専用のジンギスカン鍋は、中央が山のように盛り上がり、表面に溝が付いているのが特徴です。中央で羊肉を焼き、周囲に野菜を置くと、肉から出た脂や肉汁が溝を通って野菜側へ流れます。
専用鍋がない場合は、ホットプレートやフライパンでも調理できます。ただし、肉と野菜から水分が多く出ると蒸し焼きに近くなるため、肉を一度に載せすぎないことがポイントです。
ラムとマトンの違い|初めてならどちらを選ぶ?
ジンギスカンに使われる羊肉は、主に「ラム」と「マトン」に分けられます。
| 種類 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| ラム | 若い羊の肉。比較的やわらかく、香りが穏やか | 羊肉を初めて食べる人 |
| マトン | 成長した羊の肉。羊肉らしい香りと濃い旨みを感じやすい | 羊肉の風味をしっかり味わいたい人 |
初めて食べる場合は、香りが比較的穏やかなラムから試すと選びやすいでしょう。一方、羊肉特有の香りや旨みを楽しみたい人にはマトンが向いています。
ただし、香りや食感は肉の部位、鮮度、厚さ、味付け、焼き加減でも変わります。ラムなら必ず香りが弱く、マトンなら必ず硬いというわけではありません。
専門店で迷った場合は、ラムとマトンを2種類食べ比べられるセットを選ぶ方法もあります。
味付けジンギスカンと後付けジンギスカンの違い
北海道のジンギスカンは、大きく「味付けタイプ」と「後付けタイプ」に分けられます。
| 種類 | 調理方法 | 味の特徴 |
|---|---|---|
| 味付けタイプ | 羊肉をタレに漬け込んでから焼く | 肉に味が入り、野菜にもタレがなじみやすい |
| 後付けタイプ | 味付けしていない肉を焼き、食べる直前にタレをつける | 羊肉そのものの味や焼き加減を楽しみやすい |
味付けタイプは滝川をはじめとする空知方面、後付けタイプは札幌などで親しまれてきたとされます。
ただし、現在は地域を問わず両方を提供する店舗があります。「札幌は必ず後付け」「内陸部はすべて味付け」と明確に分かれているわけではありません。
ジンギスカンのおいしい焼き方・食べ方
鍋を十分に温める
冷たい鍋に肉を載せると、肉汁が出やすくなります。鍋やホットプレートを温めてから焼き始めます。
周囲に野菜を置く
玉ねぎ、もやし、ピーマン、かぼちゃなど、火の通り方が異なる野菜を鍋の周囲に置きます。火が通りにくい野菜は薄めに切っておくと食べやすくなります。
中央で肉を少量ずつ焼く
肉は中央の温度が高い部分に、一度に2〜3枚程度ずつ載せます。鍋を肉で埋め尽くすと温度が下がり、焼くというより蒸す状態になりやすいためです。
火を通しすぎない
羊肉は焼きすぎると硬くなりやすいため、表面の色を見ながら裏返します。ただし、生焼けは避け、中心部まで十分に加熱してください。
味付けタイプは野菜にもタレをなじませる
味付け肉から流れたタレを野菜になじませると、玉ねぎやもやしにも味が付きます。タレが焦げやすいため、火力が強すぎる場合は調整しましょう。
ジンギスカンが北海道名物になった理由
ジンギスカンが北海道に根付いた背景には、羊毛生産と羊肉の活用があります。
第一次世界大戦の影響で羊毛の輸入が難しくなると、日本では羊毛を国内で確保するため、羊の飼育が奨励されました。広い土地を持つ北海道でも羊の飼育が進み、札幌、月寒、滝川などに羊の飼育や研究に関わる施設が置かれました。
その後、輸入羊毛や化学繊維が普及すると、羊毛だけでなく羊肉を活用する必要性が高まります。羊肉を日本人が食べやすい料理として広める過程で、ジンギスカンが北海道各地に定着したとされています。
つまり、北海道で羊を飼育していたことだけでなく、羊肉をおいしく食べる方法として家庭や飲食店へ広がったことが、北海道名物になった大きな理由です。
ジンギスカンの発祥・名前の由来
「ジンギスカン」という名前からモンゴル料理を想像しやすいものの、現在の日本式ジンギスカンと同じ料理が、チンギス・ハンの時代からモンゴルで食べられていたと確認されているわけではありません。
料理の発祥については諸説あり、中国の羊肉料理「烤羊肉(カオヤンロウ)」などを参考に、日本人向けに考案されたとする説が知られています。
名前についても、次のような説があります。
- モンゴル帝国を築いたチンギス・ハンの名にちなんだ説
- チンギス・ハンが陣中で羊肉を焼いたという伝承にちなむ説
- 札幌農学校出身の駒井徳三が名付けたとする説
- 源義経が大陸へ渡り、チンギス・ハンになったという伝説に結び付けた説
このうち、駒井徳三が羊肉料理にモンゴルの英雄チンギス・ハンを重ねて名付けたという説は、有力な説の一つとして紹介されています。
ただし、発祥地や命名者を確定できる資料は限られているため、「発祥はここ」「名付け親はこの人物」と断定せず、複数の説が伝わっている料理として理解するのが適切です。
ジンギスカン鍋が丸く盛り上がっている理由
ジンギスカン鍋は、中央がドーム状に盛り上がり、その周囲が低くなっています。
温度が高くなりやすい中央で肉を焼き、周囲で野菜を加熱するための形です。肉から出た脂や肉汁が鍋の傾斜と溝を通り、周囲の野菜へ流れる仕組みになっています。
「兜のような形は、兵士が兜で肉を焼いたことに由来する」と紹介されることもありますが、歴史的事実として確認された説ではありません。
北海道でジンギスカンを食べる店の選び方
初めて北海道でジンギスカンを食べる場合は、店名だけでなく次の5点を確認すると選びやすくなります。
- ラムとマトンのどちらを扱っているか
- 味付けタイプか後付けタイプか
- 食べ比べセットがあるか
- 予約できるか
- 一人でも注文できるか
羊肉の違いを知りたい場合は、ラムとマトンの両方を少量ずつ注文できる店が向いています。タレの違いを楽しみたい場合は、味付けと後付けを比較できる店を選びましょう。
夕食時間帯や週末は混雑する店があります。旅行日程が決まっている場合は、来店前に公式サイトで営業時間、定休日、予約方法を確認してください。
北海道でジンギスカンを食べる場合の予算と所要時間
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 食事予算 | 1人3,000〜5,000円程度 |
| 食事時間 | 60〜90分程度 |
| 予約 | 週末や夕食時間帯は事前予約を推奨 |
価格は店舗、肉の部位、注文量、飲み物の有無によって変わります。食べ放題や高級部位を注文する場合は、5,000円を超えることもあります。
営業時間、定休日、料金は変更される場合があるため、来店前に店舗の公式情報を確認してください。
自宅で楽しむジンギスカン
自宅では、味付け済みの羊肉を利用すると準備を短縮できます。玉ねぎ、もやし、ピーマンなどを用意し、ホットプレートやフライパンで肉と一緒に焼きます。
冷凍品は商品ごとに解凍方法が異なります。常温に長時間置かず、商品に記載された保存方法と解凍方法に従ってください。
味付け肉はタレを多く含むため、強火のまま焼くと焦げやすくなります。表面を焼いた後は火力を調整し、中心部まで十分に加熱しましょう。
ジンギスカンの通信販売【楽天市場】
お取り寄せでは、ラム、マトン、味付け肉、食べ比べセットなどが販売されています。人数に対して多すぎない内容量か、専用鍋やタレが付属するか、冷蔵・冷凍のどちらで届くかを確認して選びましょう。
ジンギスカンを目当てに北海道を旅するなら
王道のジンギスカンを楽しみたい場合は、専門店が集まる札幌を拠点にすると移動しやすくなります。札幌駅、大通、すすきの周辺には飲食店が多く、中心部の観光と夕食を組み合わせやすいのが特徴です。
味付けジンギスカンの文化を体験したい場合は、滝川を含む空知方面も候補です。札幌と滝川の両方で食べると、後付けタイプと味付けタイプの違いを比較できます。
食後に温泉宿へ移動する場合は、夕食の予約時刻と移動時間を先に決めてください。札幌中心部から郊外へ移動する日は、乗り継ぎや冬季の道路状況も考慮して、余裕のある行程を組みましょう。
まとめ|ラムとマトン、味付けと後付けを食べ比べよう
ジンギスカンは、羊肉と野菜を専用鍋で焼く北海道の郷土料理です。
初めてなら香りが比較的穏やかなラム、羊肉らしい旨みを味わうならマトンが候補になります。また、タレに漬けてから焼く味付けタイプと、焼いた後にタレをつける後付けタイプでも味わいが変わります。
発祥や名前の由来には複数の説がありますが、北海道で羊の飼育が進み、羊肉を食べる方法として定着したことが、現在の食文化につながっています。
北海道を訪れる際は、ラムとマトン、味付けと後付けを食べ比べ、自分に合うジンギスカンを探してみてください。


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