三重県津市榊原町に湧く榊原温泉は、布引山地のふもとに広がる静かな温泉地です。平安時代には「七栗の湯」と呼ばれ、清少納言の『枕草子』に登場する名湯として語り継がれてきました。伊勢神宮へ向かう前に身を清める「湯ごり」の地としても知られ、温泉そのものだけでなく、神宮参拝や湯治文化と深く結びついてきた歴史があります。
現在の榊原温泉は、大規模な歓楽温泉街というよりも、湯ノ瀬川沿いの里山風景、旅館、日帰り温泉、寺社、田園の景色がゆるやかにつながる落ち着いた温泉地です。温泉街を歩いて楽しみたい人、歴史ある名湯で静かに過ごしたい人、伊勢神宮や津市周辺の観光とあわせて温泉旅を組み立てたい人に向いています。
榊原温泉とは
榊原温泉は、三重県津市の西部、榊原町にある温泉地です。近鉄大阪線の榊原温泉口駅から車でアクセスでき、伊勢自動車道の久居インターチェンジからも比較的訪れやすい場所にあります。周囲は山あいと田園が広がる穏やかな地域で、都市型の温泉地とは異なり、里山の静けさを感じながら湯を楽しめるのが魅力です。
古くはこの一帯が「七栗」と呼ばれていたことから、榊原温泉は「ななくりの湯」とも呼ばれてきました。『枕草子』に「湯はななくりの湯、有馬の湯、玉造の湯」と記されたことから、古くから都にも知られた温泉として紹介されることが多く、日本三名泉のひとつとして語られてきた歴史があります。
温泉地としての規模は大きすぎず、旅館や日帰り入浴施設、観光案内所、射山神社などが周辺に点在しています。派手な温泉街を歩くというよりも、温泉の由緒をたどりながら、ゆっくりと湯に入り、食事や周辺散策を組み合わせる旅に向いています。
榊原温泉の歴史と文化
榊原温泉の魅力を理解するうえで欠かせないのが、「湯ごり」の文化です。湯ごりとは、神社へ参拝する前に湯で身を清めることを指します。榊原温泉は、京から伊勢へ向かう道筋に位置していたことから、伊勢神宮へ参拝する前に心身を清める温泉として大切にされてきました。
地元では「宮の湯」とも呼ばれ、神宮参拝と結びついた清らかな湯として親しまれてきました。現在でも、榊原温泉には伊勢神宮とのつながりを感じさせる行事や伝承が残り、単なる入浴施設ではなく、信仰と旅の文化を背景に持つ温泉地としての個性を保っています。
また、榊原温泉の中心的な存在として知られるのが射山神社です。温泉の守り神にゆかりのある神社として親しまれ、温泉地の歴史を語るうえで重要な場所です。榊原温泉は、湯治場としても栄えた時代があり、江戸時代にはお伊勢参りや湯治を目的とした人々でにぎわったと伝えられています。
『枕草子』に登場する「七栗の湯」、伊勢神宮参拝前の湯ごり、温泉大明神として親しまれた信仰、そして湯治場としての歴史。これらが重なって、榊原温泉は三重県内でも文化的な奥行きを持つ温泉地となっています。
泉質とお湯の特徴
榊原温泉の泉質は、アルカリ性単純温泉です。無色透明のやわらかな湯で、肌にふれるとつるつるとした感触を楽しめることから、「美肌の湯」として紹介されることもあります。アルカリ性の温泉は、一般に肌あたりがなめらかに感じられることがあり、榊原温泉でもその湯ざわりが大きな魅力になっています。
ただし、温泉の感じ方には個人差があります。泉質や適応症は施設ごとの掲示内容を確認し、体調に合わせて無理のない入浴を心がけることが大切です。特に長湯をしすぎたり、飲酒後に入浴したり、体調がすぐれないときに無理をしたりすることは避けましょう。
榊原温泉は、湯のやわらかさや落ち着いた環境を楽しむ温泉です。強い硫黄臭や濁り湯のような個性ではなく、穏やかでまろやかな湯ざわりを味わいたい人に向いています。静かな浴室でゆっくり湯に浸かると、古くから人々がこの湯を大切にしてきた理由を感じやすいでしょう。
温泉街・日帰り入浴の楽しみ方
榊原温泉では、宿泊だけでなく日帰り入浴も楽しめます。旅館の外来入浴や日帰り温泉施設を利用すれば、三重県内のドライブや伊勢方面の観光とあわせて、半日程度の温泉旅として組み立てることもできます。
代表的な施設のひとつが、日帰り温泉・宿泊・食事・キャンプなどを組み合わせられる「湯の瀬」です。温浴施設のほか、レストランや宿泊機能を備えており、家族旅行やドライブ途中の立ち寄りにも使いやすい施設です。榊原温泉観光案内所も周辺にあり、初めて訪れる場合は地域情報を確認する拠点として役立ちます。
また、温泉旅館の外来入浴を利用する場合は、旅館ごとに受付時間、休館日、料金、利用できる浴場、混雑状況が異なります。日帰り入浴を目的に訪れる場合は、出発前に各施設の最新情報を確認しておくと安心です。特に週末や連休、メンテナンス日、貸切利用がある日は、通常と異なる場合があります。
温泉街の楽しみ方としては、湯に入るだけでなく、射山神社や湯元跡、湯ノ瀬川沿いの景色、周辺の寺社をゆっくり歩くのもおすすめです。大規模な土産物街を期待する温泉地ではありませんが、落ち着いた里山の空気のなかで、歴史を感じながら歩く時間が榊原温泉らしい過ごし方です。
周辺観光とあわせて楽しむ
榊原温泉の周辺には、温泉の歴史を感じられるスポットや、里山の自然を楽しめる場所があります。まず訪れたいのは、温泉地の文化と深く関わる射山神社です。温泉の守り神にゆかりがある神社として知られ、榊原温泉の由緒をたどるうえで欠かせない場所です。
温泉街周辺には、湯ノ瀬川沿いの散策、寺社めぐり、田園風景を楽しむまち歩きの楽しさもあります。春には桜、初夏にはホタル、夏には田んぼアート、秋には里山の風景など、季節ごとに違った表情があります。観光施設を次々に回るというよりも、温泉と自然、歴史をゆっくり組み合わせる旅が似合います。
少し足を延ばすなら、青山高原方面の自然景観も候補になります。高原の風景や展望を楽しみ、帰りに榊原温泉で湯に浸かる行程は、自然散策と温泉を組み合わせたい人に向いています。また、津市中心部方面へ向かえば、歴史ある寺院や市街地観光、海側の観光とも組み合わせられます。
さらに、榊原温泉は伊勢方面への旅とも相性があります。伊勢神宮への参拝と湯ごりの歴史を意識して、伊勢参りの前後に榊原温泉を組み込むと、単なる移動途中の温泉ではなく、旅の意味が深まります。伊勢神宮だけでなく、松阪、津、青山高原方面との組み合わせも考えやすい立地です。
名物グルメと温泉街の過ごし方
榊原温泉では、温泉旅館の食事や日帰り施設のレストランを中心に、三重の食材や地元の味を楽しむ過ごし方ができます。海の幸が豊かな三重県らしい料理、地元野菜、季節の会席料理、温泉宿ならではの落ち着いた食事など、宿ごとに特色があります。
湯の瀬では、温浴施設とあわせて食事を楽しめるため、日帰り旅行でも「入浴+昼食」や「入浴+夕食前の休憩」といった使い方がしやすいでしょう。施設によっては、ラム肉や地元食材をテーマにした食事を楽しめるところもあり、温泉だけでなく食事を目的に立ち寄る楽しみもあります。
温泉街全体としては、食べ歩き型のにぎやかな温泉街というより、旅館や日帰り施設でゆっくり食事をとるスタイルが中心です。そのため、榊原温泉で食事を重視する場合は、宿泊プランや日帰り食事付きプラン、レストランの営業時間を事前に確認しておくとよいでしょう。
日帰りと宿泊、どちらで楽しむか
榊原温泉は、日帰りでも宿泊でも楽しめる温泉地です。日帰りなら、津市内や松阪方面、伊勢方面、青山高原方面の観光と組み合わせて、半日から一日程度の温泉旅にしやすいでしょう。入浴だけを目的にする場合や、ドライブ途中に立ち寄りたい場合は、日帰り温泉施設や外来入浴を利用するのが便利です。
【楽天トラベル】榊原温泉の宿・ホテルを探す一方で、榊原温泉らしさをじっくり味わうなら宿泊がおすすめです。夕方に到着して湯に入り、静かな里山の夜を過ごし、翌朝もう一度湯に浸かると、日帰りでは感じにくい温泉地の落ち着きが伝わります。特に、温泉の歴史や湯ごり文化に関心がある人、混雑を避けて静かに過ごしたい人、伊勢参りと組み合わせて旅に深みを出したい人には宿泊が向いています。
日帰りは手軽さ、宿泊は余韻の深さが魅力です。榊原温泉はどちらの楽しみ方にも対応できますが、旅の目的が「温泉でゆっくり休むこと」であれば、宿泊を選ぶと満足度が高くなります。
泊まるならどのエリアが便利か
榊原温泉で宿を選ぶ場合は、温泉街中心部や湯ノ瀬川周辺、日帰り施設に近いエリアを基準にすると選びやすくなります。榊原温泉は広い市街地型の温泉地ではないため、駅前に宿が集まるというよりも、温泉地内の旅館や施設に滞在する形になります。
温泉そのものを重視するなら、源泉や浴場の特徴、露天風呂の有無、日帰り入浴との違い、貸切風呂の有無などを確認するとよいでしょう。静かに過ごしたい人は、川沿いや里山の景色を楽しめる宿、部屋数の少ない落ち着いた宿が向いています。家族旅行や三世代旅行では、バリアフリー対応、食事場所、貸切風呂、駐車場の使いやすさも大切です。
伊勢神宮や津市内観光と組み合わせる場合は、チェックイン時間や翌日の移動ルートを考えて宿を選びましょう。公共交通で訪れる場合は、榊原温泉口駅からの送迎の有無、送迎時間、事前予約の必要性を確認しておくと安心です。車の場合は、宿の駐車場、冬季や荒天時の道路状況、周辺観光地までの移動時間を確認しておくと旅程を組みやすくなります。
アクセス・行き方
榊原温泉へ電車で向かう場合は、近鉄大阪線の榊原温泉口駅が最寄り駅です。駅から温泉地までは距離があるため、宿泊施設の送迎、タクシー、路線バスなどを組み合わせるのが一般的です。宿によっては送迎に事前予約が必要な場合があるため、電車で訪れる場合は予約時に確認しておきましょう。
車で訪れる場合は、伊勢自動車道の久居インターチェンジから榊原温泉方面へ向かうルートが使いやすいです。津市街地や松阪方面、伊勢方面からもアクセスできるため、三重県内の観光と組み合わせやすい温泉地です。
ただし、公共交通機関の本数や送迎対応、道路状況、駐車場の利用条件は変わることがあります。特に週末、連休、年末年始、イベント開催時は、時間に余裕をもって計画するのがおすすめです。冬季や荒天時に車で訪れる場合は、現地の道路状況も確認しておきましょう。
旅行前に確認しておきたいこと
榊原温泉を訪れる前には、日帰り入浴の可否、営業時間、受付終了時間、休館日、料金、食事処の営業状況を確認しておきましょう。温泉旅館の外来入浴は、宿泊客の状況や清掃時間、貸切利用、メンテナンスによって利用できない場合があります。
また、公共交通で行く場合は、最寄り駅からの移動手段を先に決めておくことが大切です。榊原温泉口駅から温泉地までは徒歩だけで気軽に移動する距離ではないため、送迎やタクシー、バスの時間を確認しておくと安心です。
宿泊の場合は、温泉の利用時間、食事時間、チェックイン・チェックアウト、駐車場、送迎、館内設備を確認しておきましょう。高齢の方や小さな子ども連れ、車いす利用の方がいる場合は、浴場までの動線、貸切風呂、バリアフリー対応、食事会場の形式なども事前確認しておくと旅がスムーズです。
榊原温泉は、静かに過ごすことに価値がある温泉地です。予定を詰め込みすぎず、温泉に入る時間、周辺を散策する時間、食事を楽しむ時間をゆったり確保すると、この土地らしい魅力を感じやすくなります。
まとめ
榊原温泉は、三重県津市の里山に湧く歴史ある温泉地です。『枕草子』に詠まれた「七栗の湯」として知られ、伊勢神宮参拝前に身を清める「湯ごり」の文化とも深く結びついてきました。温泉の泉質はアルカリ性単純温泉で、なめらかな湯ざわりを楽しめる名湯として親しまれています。
大規模な温泉街のにぎわいを求める旅よりも、歴史、信仰、湯治文化、里山の静けさを感じながら過ごす旅に向いた温泉地です。日帰りで気軽に立ち寄ることもできますが、宿泊して朝夕の湯を楽しむと、榊原温泉の落ち着いた魅力がより深く伝わります。
伊勢神宮、津市内観光、青山高原方面の自然散策と組み合わせれば、三重県らしい温泉観光の一日を組み立てることができます。榊原温泉は、派手さよりも由緒と湯のやさしさを味わいたい人におすすめしたい、三重の名湯です。
参考情報一覧
- 榊原温泉振興協会公式サイト「榊原のこと」
https://sakakibara-onsen.jp/about/ - 榊原温泉振興協会公式サイト「温泉宿/外湯」
https://sakakibara-onsen.jp/hotel/ - 榊原温泉振興協会公式サイト「見どころ」
https://sakakibara-onsen.jp/highlights/ - 榊原温泉振興協会公式サイト「行き方」
https://sakakibara-onsen.jp/access/ - 津市観光協会「榊原温泉」
https://tsukanko.jp/spot/s33/ - 津市観光協会「榊原温泉振興協会(榊原温泉観光案内所)」
https://tsukanko.jp/spot/s315/ - 観光三重「榊原温泉郷」
https://www.kankomie.or.jp/spot/19641 - 津市公式サイト「津市榊原温泉湯の瀬」
https://www.info.city.tsu.mie.jp/shisetsu/onsenshisetsu/1004544.html - ラム&ピース!榊原温泉 湯の瀬 ラムちゃんパーク公式サイト
https://sakakibaraonsen.com/


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